【主婦必見】魚屋が伝えたい、新鮮で美味しい魚を食べるために知って欲しいこと|イクメンライフハッカー

【主婦必見】魚屋が伝えたい、新鮮で美味しい魚を食べるために知って欲しいこと

10年以上も前の話だけど、魚屋で3年間働き、仕入れ、調理、刺身、販売など、一通りの業務を経験した。魚屋の繁忙期である年末年始は鯛を2トン、ブリを200本、一人で下ろす。


疲労で包丁を持てなくなったらガムテープで手と包丁を縛り付ける。もちろん生傷は絶えない。大型店舗だったのでお客さんも多く、終日大忙し。

労働時間は朝早くから閉店までのロングタイム。そういえば休憩もまともにとったことがない。今時の言い方をすれば「ブラック企業」になるのかな。

デパ地下で真剣に食材を選ぶ目の肥えたお客さん相手の商売。魚屋での業務はお客さんとの魚を通じた信頼関係が全てだ。鮮魚に関する知識とプロの調理技術を求められる、厳しいけどたくさんの事を学んだ本当に楽しい職場だった。

魚屋の業務、変わったところではマグロの解体ショーから、2mを超えるエイ、10Kg以上のタイ、畳サイズの天然ヒラメの調理。うんざりする土用の丑の日のうなぎ焼き。それから、美味しいお勉強である魚の味を覚える為のありとあらゆる魚の試食。色々な経験が出来たけど、一番嬉しかったのはお客さんから「お兄ちゃん、この前教えて貰ったお魚、すごく美味しかった!」と生の声が聞けたこと。

お礼を伝える為だけによくわからない黒い飴や、おせんべいのお土産をもって会いに来てくれたおばちゃんの数が思い出であり財産だ。

魚屋でフルコミットした3年間、その成果として魚には誰よりも詳しくなった。

魚屋が伝えたい、旬のお魚、新鮮で美味しい魚を食べるために知って貰いたいこと。

上手くまとめれないけれど書いてみた。



1つ目、お店の中で新鮮な魚が販売されている場所を把握する


新鮮な魚が販売されている場所、結論から。

対面販売(有人販売)コーナーは、そのお店で一番新鮮で美味しいお魚が販売される魚屋の力量が問われる売り場だ。新鮮な魚を探すなら、先ずは対面コーナーの魚からチェックしたい。

魚屋で販売されている魚を新鮮さでランク付けすると以下になる。

1位 対面コーナーの姿の魚(当日市場で水揚げされた新鮮な魚)

対面コーナーは匂いを隠せるモノがない為、傷んだ魚は並べられない。商品を売る為にお客さんと話しをする必要があるので、おすすめ出来ない魚は別の場所だ。

2位 パックコーナーの姿の魚(当日市場で水揚げされた新鮮な魚、または加工するほど傷んでない魚)

陳列スペースの問題や、対面販売が苦手な方向けに新鮮な魚も並ぶ。ただし、調理が追いつかない場合は前日からの売れ残りである魚も並ぶので、対面コーナーとパックコーナーに同じような魚がある場合は対面コーナーの魚を買いたい。

3位 パックコーナーの調理済みの魚(頭や鱗、内臓を取ってある魚)

頭や内臓が取り除かれているのは、食べれないほどではないが、腐敗臭がする為に調理された魚。残念ながらこういった魚も販売しなければ魚屋は成り立たない。魚本来の味とはかけ離れているので本音を言うとおすすめ出来ない魚だ。

早くて簡単に料理出来るため、調理済みの魚を買われる方も多いと思うが、対面コーナーの魚を購入し、自宅で魚の調理にチャレンジして欲しい。

4位 タレ漬け、加工済みの魚

新鮮さという観点ではこの辺から怪しくなってくる。姿の魚とタレ漬けの魚。当然だが、わざわざ新鮮な魚を手間暇かけてタレに漬ける魚屋は居ない。何故タレ漬けるか、それはタレに漬けなければならない理由があるからだ。

色も匂いも、タレに漬ければ、、、申し訳無いが魚屋でも食べたことがないのでどんな味がするのか分からない。

5位 焼き物、煮物となった姿で販売されている魚

お惣菜コーナーではなく、魚屋さんの店舗の中でこじんまりと売られている焼き魚や煮魚。新鮮な魚という観点では、「怪しい」から「危険」に変わってくる。鱗や内臓をとっても売れず、タレに漬けても売れなかった魚たち。最後のチャンスである夕方のたたき売りでも売れなかった可哀そうなお魚が行きつくのが焼き物・煮物だ。

※上記の内容は全ての魚屋、鮮魚売り場にあてはまる訳はないが、魚屋の大半がこのような形になっていると言わざるを得ない。例外としてはブリやサケなどの大型の魚は新鮮な魚でも販売し易い大きさの切り身に加工して販売している。

2つ目、お願いすれば対面コーナーの魚で刺身を作ってくれる


魚屋のスタッフに対面コーナーの魚を刺身にして欲しいとお願いすること。魚屋からするとやめて欲しい方法かも知れない。今どきのスーパーよりも、デパートなどの高級鮮魚店、昔ながらなのお魚屋さんに向いている方法だ。

魚屋によっては別途調理料金が必要な場合があるかもしれないが、昔は別料金など頂かなくても真摯に対応した顧客はやがてロイヤルカスタマーになり、たくさんのお客さんを連れて来てくれた。

古いお店やデパートなどの高級鮮魚店の場合、サービスレベルが違うので喜んで対応してくれる。

デパートの魚屋に勤務していた当時、お願されると喜んで対応していたが、魚の料金だけで刺身になるのでとてもお得だ。

実は刺身コーナーで販売されているお魚たち、鯛やハマチなど定番の養殖魚は当日水揚げされた魚になるが、天然の魚、、、アコウやオコゼなど高級な魚やイカなどは前日対面コーナーで寝かされた魚であることが多い。残念ながら、味をよくする為では無く、売れ残りの場合が大半だろう。

もう少し補足すると、刺身コーナーのお刺身パックの原価は「魚の原価+人件費+材料費(トレイ、ラップ等)」となるので「魚の原価」だけで済む対面コーナーの販売価格より高くなる。

同じような値段で売るには、分量を少なくするしかなく、例えば新鮮なアジ(地物、釣り物のアジを想定)を市場で一匹400円で仕入れた場合、対面コーナーで販売する場合は一匹780円、刺身にして販売する場合は半身分の分量で680~780円(※)が販売価格になる。

※デパートの魚屋の場合、商品当たりでは仕入れ値の30~50%、スーパーの魚屋は10~30%の利益率。もちろんテナント料の差だ。

親切そうな店員さんがいたら、そっとお願いしてみよう。

3つ目、魚の旬を知る 


当たり前だが魚には旬がある。

例えば、今の季節(5月、初夏)は残念だが魚が美味しくない時期だ。大半の魚が腹に卵を抱えており、栄養が卵に行く為、身は脂が乗らずスカスカ。

秋の脂が乗ったサバと、初夏のサバでは、同じ食べ物か!という位味が違う。では元魚屋である生粋の魚好きがこの時期どんな魚を食べるのかと聞かれると、、、


肉を食べる(笑)


魚本来の味が楽しめないので、旬の魚がない時は他の献立に切り替えよう。

4つ目、調理の技術はやっぱり必要 


旬のお魚を食べたい方。

新鮮で美味しいお魚が食べたい方。

安くて美味しい魚が食べたい方。

家庭で美味しいお魚を食べたい方は、出来れば調理技術を身に付けて欲しい。頭を落としたり、鱗や内臓をとったりは軍手をすればなんとかなる。三枚下ろしと、刺身用のブロックにする為の皮をすく作業が出来るようになれば完璧だ。刺身に切るのは最初は不恰好でも味は同じ。

魚屋おすすめの調理方法は、真水を使わず、海水より薄めの塩水で魚を洗い、きちんと水気を拭き取ること。刺身用のブロックを買った時も、夕食まで時間がある場合は一度パックから取り出し、キッチンペーパーで水気を拭き取りとっておこう。雑菌を洗い流す効果もあり、味も変わってくる。

塩分濃度の違いから、魚は真水にふれた瞬間から味が落ち始める。お店で調理をお願いするのは味にこだわる方にはおすすめしたくない。魚屋が調理を嫌がるのは調理がメンドクサイからではなく、魚本来の味を楽しんで貰いたい場合もある。

違いが分かり易いのは魚屋で売っているパックの刺身と、自分で調理した切り立ちのお刺身を食べくべてみることだ。私はパックのお刺身を食べないので比較し難いが、パックの刺身と新鮮な魚をさばいて刺身にするのは違う食べと言っても過言でないほど異なる。

また、刺身のコツは、事前に切って冷蔵庫に入れないこと。

一般的な家庭では、夕飯の調理時に刺身を作って冷蔵庫に入れておき、食べる時に冷蔵庫から出していると思うが、これをしてしまうとせっかくの新鮮な魚が台無しだ。失礼ながらプロの魚屋に言わせると、食べる価値がない。

手間は掛かるが魚を自宅へ持ち帰り、食べる直前に調理する。刺身なら家族が席に着いてから切る。煮物、焼き物なら、家族が箸を持つタイミングで炊き上げる。新鮮な魚は身が反り返り、皮がはじける。炊き上がり後に蓋をしたお鍋に入れっぱなしにしたら、もう残念だ。

元魚屋としてぜひ試して頂きたい。

ここまでやると魚本来の味が引き出せ味のむこう側が見えてくるが、一度どれくらい味が違うか子供たちで試したことがある。

瀬戸内海産、釣りものの本メバル、一尾800円。刺身になるくらいの新鮮なのメバルを二匹購入。
一匹は店で調理し、夕食前に煮上げ、お鍋に入れていたメバル(食べる前に温めた)。
もう一匹は、丸の魚を持ち帰り、煮付ける直前に真水は使わず塩水で洗いながら調理。強火で煮汁を飛ばしながら子供たちが席に着いた頃に炊き上げた。

食べ比べた子供たちは、「なんでこっちのお魚は美味しいの?」

幼児でも分かる位、味に違いがある。

5つ目、夕食の献立は魚だけに絞らない


夕食の献立、お家で事前に決めてからお買物をしていないだろうか?

本当に美味しい魚、新鮮な魚を安く上手に買うためには、魚を買わないという判断をすることも大切だ。

今日は魚にしよう。

今日はお肉にしよう。

ダメ、ダメ。

魚は店舗で色々みて、良い物があったら買うくらいがちょうどいい。魚屋でも、市場で良い魚がない日は仕入れを控える(そんな日は肉屋にお客さんを回してた)

新鮮な魚が無い時は、別な献立を考えよう。

ただし、、、

買うつもりがなくても魚を見て欲しい。

毎日見ていると、だんだん目利きになってくる。そのうち、目を見ただけでどんな味がするのか分かるようになってくるはずだ。

6つ目、曜日と天気で献立を立てる


意外と知られていないのが、魚は日曜日に買ってはいけないということ。

なぜならば、日曜日は市場がお休みなので養殖、冷凍物を除いて全ての商品が前日からの兄貴(※)になってしまう。地方によって違うけど、第1、第3水曜日も市場がお休みなので新鮮な魚は手に入らない。

市場が休みの日は、お魚は控えよう。

※魚屋は前日の売れ残りの魚を兄貴(姉御ではない)と言う。当日仕入れた魚から見ると、前日からいる先輩なので兄貴になる。3日物のそろそろ臭くなってきそうな兄貴は「大兄貴」と言う。逆にとれたてピチピチの新鮮なお魚は「ブラ」と言う。身がブランブランしているから「ブラ」と言うのだが、ブラ→死後硬直(魚を持ってもだらんとせず、カチカチになっている状態)→2度ブラと、死後硬直の後のぐったりした状態を示すブラもあるので魚がブラブラしているから新鮮だとは決めつけ無い方がいい。

また、悪天候の場合も水揚げに影響が有り、新鮮な魚が手に入り難い。水揚げが少なくなると市場の相場も上がり、魚屋も仕入れを控える。お店に行っても良い魚がなかったり、高かったりという状態になっているだろう。

月曜日は市場の休み明けで全ての魚が新鮮(もしかしたら土曜日からの大兄貴がいるかも知れないが)なので、魚を食べる曜日としてはオススメだ。

7つ目、魚屋のスタッフを信用しない


魚屋の店員は、何故か魚に詳しそうに見える。

魚屋にいる「安いよ~!おいしいよ~!お買い得だよ~!」と威勢良く声を張り上げる、魚に詳しそうなオジサン。

でも、中には魚の味を知らないスタッフもいる。

ある時、(大)先輩に

私:「この魚、どのような調理方法で食べたら美味しいですか?」

と質問したら、、、

魚屋の大先輩:「え!?魚は食べないから知らないよ!肉しか食べないからね!!」

魚屋の大先輩:「さ~~~、美味しいよ~!! いらっしゃ~い!!!」

私:「・・・」

料理をしない、魚に興味が無い。こういう魚屋はけっこういる。

8つ目、魚屋への正しい質問


とはいえ魚に詳しくないお客さんが最初に頼りにするのは店員だろう(いまならネットか)

魚がおいしいのか、おいしくないのか正しく答えてもらう必要がある。

そういう時は「おいしいですか?」という主観的な質問ではなく、「脂が乗っていますか?」「旬はいつですか?(それはなぜ?)」「ブラですか?(締りや2度ブラではないですか?)」という質問をするべきだ。

脂が乗っていないのに乗っていると答えるような魚屋、分っていないような魚屋は論外だか、脂が乗っていて、ブラ(活きがいい、身がコリコリしているなど)なら間違いなく旨い魚だ。


余談になるが私の場合、プロの魚屋を目指していたので、店舗で販売する全ての魚を自費で購入し味を勉強していた。食べたこともない、味を知らない魚をどうやって説明するのだろう。

例えば、ハゲ(カワハギ)

冬になると肝が大きくなり、煮付けや鍋にすると美味しいお魚だ。新鮮なら刺身もおすすめ。本当に活きたハゲなら生肝しょう油で食すお刺身が最高だ。

このハゲ、一口にハゲと言ってもウマヅラハギという良くスーパーで見かけるハゲから、カワハギという一番美味しいハゲ(丸ハゲ、だるまハゲなどともいう)、ウスバハギという姿で見ることは殆どない、薄造りのお刺身パックで売られているハゲ(正直、美味しくない)など、いろいろな種類がある。

もちろん、全種類を食してみる。調理の練習にもなってちょうど良い。

また、種類だけでなく、魚には旬があり、脂の乗りや身のしまりなど時期によって味が全く全然違う。

お客さんに正しい商品説明を行うためには、春夏秋冬、全ての時期で実際に食し味を知っておくことが必要だ。

産地や生息地、水揚げ方法でも味が変わってくるので、その組み合わせも理解する必要がある。

瀬戸内海産の地ハゲなのか、遠洋(といってもハゲなら九州、五島列島位までだが)なのか、底に住んでいるハゲなのか、筏に住み付いているハゲなのか。釣りものなのか、網取りか。オキアミをまいてとったのか。参考までにお腹がオレンジ色になっているハゲはオキアミを使って水揚げしたハゲですぐに内臓が傷み、肝も臭くて食べられたものではない。食べているエサでも味が全然違う。

一つの魚でもプロの魚屋は魚の旬、産地、水揚げ方法、それぞれ味の差分を知っている。

また、当日食べた場合と翌日食べた場合の味の差分となる、熟成させた場合の味の足し算、鮮度が落ちた場合の味の引き算も知る必要がある。

お客さんによっては明日の夕食用や、おすすめできないが冷凍して食べられる方もいるので、当日、翌日、冷凍の3パータンで食べ比べておく必要がある。

プロの魚屋としてお客さんに説明するためにはハゲという魚一つとりあげても、ハゲの種類(3パターン)×時期(4パターン)×産地、生息地、水揚げ方法(仮に5パターン)×食べるまでの時間(3パターン)=180回、朝ごはんはさすがに時間がないのでおにぎりやパンだったけれど、それ以外の食事は常に魚を食べていた。

慣れるとどこで捕れたか、どのような水揚げ方法か、魚が何を食べていたのか、新鮮なのか数日たっているのか、少し口に含むだけで分かるようになった。取り扱うすべての魚に対して試食(つまみ食いとも言う)、研究を重ね、味覚のデータベースを作成しているからこそ、本当の魚の味を伝える事が出来る。

新鮮で美味しい魚を食べるために知って貰いたいこと


魚屋は美味しい新鮮な魚を販売し、家庭でのお食事を通じてお客様に幸せになって頂くことがミッション(使命、存在価値)だ。

魚を販売し利益をあげなければ会社として存続できない。

昔は一匹売り、姿の魚が売れていたが、今は切り身や調理済みの魚が良く売れる。安くて美味しい魚を並べても、手間が掛かるという理由で敬遠されるからだ。

売り上げをあげるためには売れる商品を並べなければならない。でも、魚屋が本当に伝えたい魚の味は時間が経過した調理済みの魚ではない。

この記事を読んでいただいた方には少し手間が掛かるかも知れないが、既製品や調理済みの魚ではなく新鮮な姿の魚を購入し、ぜひとも自宅で料理して欲しい。

子どもたちに本当に美味しい魚の味を伝えたいんだ。


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